食育のすすめ

食育とは体と心の健康のために必要な食生活について広い分野から学び、実践につなげる教育です。

例えば、バランスのよい食事を知り、必要な食品を選んで料理ができることは生きるための大きな力になります。そして、生まれ育った場所の食文化を知り、食料の生産がどのようにされているかを知ることもよりよい食生活の基礎作りに役立ちます。

食事は単に食べるだけのものにとどまらず、病気を予防するための健康作りや食文化を継承し、相手へのマナーを知り、コミュニケーションを深める場にもなります。

食事をする時の挨拶に「いただきます」という言葉があります。
これは食事への感謝の言葉ですが、それは「食べ物の命」への感謝の意味としても表現されています。

そして、食事が終わる時には「ごちそうさま」という挨拶をします。
これは、この食事ができるまでにたくさんの人たちが走り廻って、用意し、作ってくれたことへの感謝の意味が込められています。
野菜の種を植えて育ててくれる農家の人、それをトラックにのせて運んでくれる人、お店で並べて販売してくれる人、そして買い物に行って、料理を作ってくれた人など、たくさんの人がこの食事ができるまでに走り廻って作ります。

食育は感性・知能・健康に役立つ体験学習です。
食べることだけではなく、五感を刺激し、心を豊かにして、子どもにとっても、大人にとっても楽しく感じてワクワクするような発見がたくさんあります。

子どもと一緒に食育を始めてみましょう

子どもが料理を手伝う過程の中で、目で確かめ、においをかいで、さわったり、音を聞いたりしながら味わうことは、子どもの五感を刺 激し、知能の発達に役立ちます。
そして、食材や料理の学びの中で、バランス良い食事や、体と心を元気にしてくれる食事について確認し、そしてそれらが食生活の中で身についていくことが大切です。
キレやすい子と食生活の乱れの関係など、食べ物と子ども達の心と体の問題がさまざまに言われる現代では食育はますます重要になってきます。

食育料理教室を開催しながら、子ども達が生まれながらに持っている感性・能力の素晴らしさをいつも実感します。
それはまだ3歳くらいの小さな子どもでも、すでに生きる力を備えていると気がつくことでした。
自分の力で出来たという達成感を満たし、子どもが成長することを邪魔しないように、周りが応援しながら生きる知恵と力を育てて行きましょう。

食育は家庭でも簡単にできます。我が家の食育を始めてみましょう!

親から始めてみよう

新鮮なものをシンプルに味付けしてみよう

魚は鮮度が落ちると臭みがどんどんでてくるので、とれたてのものを、塩焼きのようなシンプルな料理にした方が子供には好まれます。椎茸も嫌いな子供が多いですが、原木栽培の新鮮なものを網焼きや天ぷらにしたら食べるようになった子供もいますので、苦手野菜もなるべく新鮮、とれたてのものをシンプルに料理して食べる体験を続けましょう。

好き嫌いを直すにはほめ上手になろう

子供が嫌いで食べないからと言って、出さないでいるとますます食べなくなります。好きになることは、食べ慣れることから始まり、我が家の味はそのようにして、子どもたちに受け継がれていきます。 そして、子どもの時は周りの様子や、声がけで、嫌いと思っていたものが食べられるようになることも、よくあります。食べるきっかけ作りには、その素材に慣れ親しむ機会や、料理に子供自身を関わらせること。そして、一口でも食べられたら、すぐに「すっごーい、お兄さん(お姉さん)なったのね」と伝えて、ほめましょう。

親の故郷の味を食べさせてみよう

お父さんやお母さんが育った故郷の味、おふくろの味を作って食べる機会を増やしましょう。故郷の料理は我が家の食文化なのです。親が子供の頃に食べて育った味を子供に伝えることで食事の豊かさや家族との繋がりを感じとります。そしてお正月や節分、ひな祭りなどの行事は家族の健康、子供の成長を願うものが多くあります。行事食を食べながら、親の想いを子供に伝えましょう。

子供と一緒に始めてみよう

スーパーや八百屋などへの買い物に連れて行こう

買い物を子供とするのも食育体験です。
売っている野菜、果物、魚の名前を教えたり、旬の食べ物は何かということを優しく教えると良いでしょう。

料理の手伝いは手先を使ったものやこねる作業から始めましょう

食材にじかに触ったり、匂いをかいだりすることは五感を刺激します。こねる作業は子どもが大好きなので、楽しく手伝ってくれるでしょう。キャベツをちぎったり、さやえんどうの筋を取ったり、えのき茸をばらしたりなどは小さい子供も上手にできます。

料理の味見も子どもは大好き

好奇心旺盛な子どもは味見が大好きです。料理をしている時に、そばに呼んで、「味見係」をしてもらいましょう。それは親が一生懸命料理をしている姿を見せることになります。また味見をしてもらい、感じた味を表現するのは味覚の確認と味の表現力の発達に役立ちます。

料理の盛り付けもさせてみよう

料理が出来上がったら、盛りつけにも挑戦してもらいましょう。「この料理に合った器はどれかな?」と子どもに問いかけ、色合いや季節感を一緒に考えてみましょう。桜の葉や紅葉など自然にある季節の葉を器にすると、葉の香りや色合いを敏感に感じながら取りますので、料理の印象がどう変わったかを子どもと話したりするとよいでしょう。

庖丁を持つ時はお約束をしましょう

子供達が庖丁を使うことはドキドキワクワクしながらも大人になったような気分でとても嬉しいものです。ですが、庖丁をそのまま渡すだけや、または親が手を押さえながら切るのも危ないので、最初に使い方をしっかり教えましょう。食育教室では庖丁を使う前に子ども達と庖丁の使い方のお約束をします。庖丁の名称(持つところ(柄)、切るところ(刃)上から押さえるところ(みね又はせ))、庖丁の持ち方、庖丁を持たないほうの手での食材の押さえ方(にゃんこの手)、切り方などを確認します。
子どもの潜在能力は目を見張るものがありますので、お約束をしたら子どもに任せ、集中できるようにサポートに徹しましょう。そしてできた時はほめてあげましょう。