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日記2015年11月18日 ホッチャレとカムイチップ

11月1日は晴天に恵まれて、今年最後の食育体感ツアーとなる、秋の里山ウォーキング&鮭の遡上見学ツアーに行ってきました。

 

現地に向かうバスの中、自己紹介をしながらそれぞれ「好きな魚」を聞きました。

マグロ・アジ・イワシ・サンマ・フグ・ホッケ・シシャモ・キンメダイ・ヤマメ・アユ・ハゼ・ジンベイザメ・エイ・クマノミ・オイカワ(知る人ぞ知る魚!)・・など多種多様。

 

鮭が好き!という人も多いでしたが、その呼び名はサケ・シャケ・サーモンとなり、同じ魚でも呼び名が違うのが面白く、子どもには寿司ネタのイメージからか、
サーモンという方がピンときて、親しみがあるのですね。

 

さて、那珂川を遡上する鮭は今年は来るのが少し遅かったようで、見られるかどうか心配しましたが、無事に鮭の姿を見ることができました。

那珂川は全長165kmで、関東では利根川、荒川についで3番目に長く大きな川です。

 

見学場所の河原に行くと、すぐに目に飛び込んできたのは産卵を終えて「ホッチャレ」となった鮭。
ホッチャレとは産卵を終えて息絶えた鮭のことをそう呼んでいますが、その由来は産卵後の鮭はもう食べられないので「放ってしまえ」から来たと言われています。

 

鮭は川で生まれて、8cmくらいの稚魚になってから海に出て行きます。
3~5年の長旅をして70cmくらいに成長した後、産卵のために生まれた川に戻ってきます。
どのくらいの割合で戻って来るのでしょうか?

 

それはたったの3%。
外敵に食べられることなく、生き延びて戻ってきたのですから、相当に生命力の強い鮭です。
遡上を始めると鮭は何も食べずに、蓄えた栄養を全て使って、全力で川を登ります。
そして、子孫を残す仕事を必死に終えたら、傷ついた体を静かに横たえて、自然の中に還っていきます。

 

北海道の寒い冬を越すために、秋鮭を貴重な食料源にしたアイヌの人たちは鮭のことを「カムイチップ(神の魚)」と呼んでいました。

鮭がいてくれたからこその命。

 

ホッチャレとなった鮭は人にとっては利用価値がなくなっても、自然にとってはそうではありません。
那珂川の上空にはホッチャレを狙ってトビが舞い、キツネやイノシシなどの野生動物の栄養源になって、その命は森の命に繋がります。

 

ホッチャレは生きものにとってのカムイチップ。

 

今では海外で養殖された鮭(サーモン)がまわりに多くありますが、秋鮭と呼ばれる鮭や紅鮭などは自然の中で育つ天然の鮭です。

おむすびの具でも鮭は一番人気。
新米の季節と鮭の季節が同じとは不思議な気持ちがしますが、野性味あふれる鮭を無駄なく、ありがたく、これからも頂きたいと思います。